小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
若年者の顎関節における円板後部結合組織の評価
西村 一美鶴山 賢太郎許田 依里諸星 弘世松永 哲前田 隆秀
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 44 巻 5 号 p. 673-681

詳細
抄録

本研究の目的は,若年者の顎関節における円板後部結合組織の下層の有無と関節円板位置異常および顎関節形態との関係について多変量解析による検討を行うことである。
209名の418関節(男児71名,女児138名,年齢:6-16歳)を対象としたMR画像から,円板後部結合組織,関節液,関節円板位置,関節円板形態,関節円板の復位,関節円板側方転位,下顎頭形態,関節隆起形態を評価した。
円板後部結合組織上層は418関節(100%)全てに確認された。下層は107関節(25.6%)に認められ,円板後部結合組織が両側に認められたのは82関節(75.9%)であり,円板後部結合組織が片側にのみ認められたのは25関節(23.4%)であった。
カテゴリースコアから,deformedの関節隆起形態,中等度および高度の関節円板前方転位,内側への関節円板転位,復位を伴わない関節円板前方転位,osteophyte状の下顎頭骨変形において,円板後部結合組織下層はMR画像上で認められない傾向があった。さらに,カテゴリースコアの説明変数別範囲から,円板後部結合組織下層に対する影響は,関節円板形態,関節隆起形態,関節円板前方転位,関節円板の復位の順に大きいことが明らかとなった。
以上のことから,円板後部結合組織下層の有無が関節円板位置異常の病因因子となりうる可能性が示唆された。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top