乳歯列の歯間空隙と咬合状態との関連性を明らかにする目的で,個性正常咬合を有する小児39名を対象とし,4歳6か月未満を乳歯列前期,4歳6か月以上を乳歯列後期,また総歯間空隙量が上顎で3.0mm未満,下顎で2.0mm未満の者を閉鎖群,上顎で3.0mm以上,下顎で2.0mm以上の者を有隙群に分け,歯間空隙量と歯,乳犬歯の咬耗,咬合力,咬合接触面積との関係を分析した。
1.歯間空隙量は,上顎では閉鎖群は乳歯列前期より後期で大きい傾向があり,有隙群は後期で小さい傾向があった。下顎では乳歯列前期と後期の差が認められなかった。
2.乳切歯の歯冠近遠心幅径は,上下顎とも閉鎖群が有隙群より大きかった。
3.overbite,overjetは閉鎖群が有隙群より大きい傾向があった。
4.乳犬歯の咬耗発現率は有隙群が閉鎖群より高い傾向があった。
5.総咬合力,総咬合接触面積は,乳歯列後期で前期より大きい傾向を示し,閉鎖群が有隙群より小さい傾向があった。特に閉鎖群の前期で著明だった。
6.乳犬歯と乳臼歯の咬合力,咬合接触面積は,閉鎖群より有隙群で大きい傾向があったが,乳切歯では閉鎖群が大きく,乳歯列前期で著明であった。
7.有隙群における乳前歯の咬合力分布,咬合接触面積分布は,乳歯列前期より後期で高い傾向があったが,乳臼歯は前期で高い傾向を示した。
8.閉鎖群における乳前歯の咬合力分布,咬合接触面積分布は,乳歯列後期より前期で高い傾向があったが,乳臼歯は後期で高い傾向を示した。
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