小児歯科学雑誌
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断髄法における新規ハイドロキシアパタイト製剤の有効性の検討
岡本 春憲荒井 清司木場 秀夫久保山 昇西山 典宏松根 健介前田 隆秀
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2006 年 44 巻 5 号 p. 693-701

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抄録
新規ハイドロキシアパタイトに炭酸カルシウムもしくはβ-TCPを含有させた覆髄材の有効性を検討するため,小児歯科臨床において断髄法に用いられている水酸化カルシウム製剤(カルビタール®)およびフォルモクレゾールと比較検討した。ラット臼歯に各材料を用いて断髄処置を行い,象牙質様硬組織の形成程度および歯髄組織の炎症性変化をマイクロCTおよび病理組織学的に比較検討した。その結果,焼結体HAP群は歯髄への刺激が低い材料であることが明らかとなった。また,切断面下における硬組織の形成はカルビタール®群が最も顕著で,焼結体HAP群においては焼結体HAP+炭酸カルシウムにおいてのみに認められた。さらに,焼結体HAP群では切断面下の,炎症が早期に改善されることが明らかとなり,生体親和性が高いことが明らかとなった。
今回の実験より,カルビタール®およびフォルモクレゾールよりも焼結体HAP群は歯髄刺激が低く,歯髄に対して良好な覆髄材となる可能性が示唆された。さらに,HAPに炭酸カルシウムを含有させると,軽度ではあるが,切断面下に象牙質様硬組織が形成されることが明らかとなった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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