2019 年 60 巻 1 号 p. 97-105
諸外国においても「コンピテンシー」育成を指向したカリキュラムや授業が注目されている。日本において,資質・能力を育成する具体的な授業実施のためには,カリキュラムマネージメントや授業デザインなどの具体的な方略が必要であり,喫緊の課題である。本研究は資質・能力を指向し,文脈的アプローチを基盤とするドイツの総合理科NaWiプロジェクトの基礎的資料としての特質を明らかにした。これからの日本の理科授業における資質・能力育成を目指す授業のカリキュラムマネージメントや教育目標,内容,方法などを考察する基本情報を提示した。特に,資質・能力を育成するために基本概念を規定し,それに関係する資質・能力を整理する必要があることが明らかになった。また,それを授業デザインするには,カリキュラムマネージメントが必要であり,文脈を基盤とした授業が望まれる。