小児歯科学雑誌
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幼児期における箸の操作方法および捕捉機能の発達変化について
大岡 貴史黒石 純子向井 美惠
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キーワード: 幼児, 箸の扱い, 発達, 捕捉機能
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2006 年 44 巻 5 号 p. 713-719

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抄録

幼児期における箸食べ機能の発達に関して,食品を捕捉する際の箸の操作方法の発達による変化を明らかにすることを目的とした。対象児は生後3歳~5歳前後の幼児37名とし,生後月数によって3歳児群,4歳児群,5歳児群に分け,箸を用いて球形の模擬食品を捕捉する動作を課題とした。その結果,5歳児では箸を開く際に近箸を動かす割合よりも遠箸を動かす割合が有意に多かった。
また,箸を動かす方向に関しては,5歳児では近箸を遠位に動かす様子がみられなくなったものの,遠箸の動かし方では明確な変化が認められなかった。模擬食品を捕捉するまでの試行回数を計測したところ,対象児の年齢が高くなるにしたがって試行回数が有意に減少していた。以上より,幼児期においては,年齢が高くなるにつれて近箸の操作方法が遠箸に先行して安定し始めるとともに,対象物を捕捉する機能が向上する可能性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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