2007 年 45 巻 1 号 p. 29-34
著者らは小児の口腔機能を口唇閉鎖力から調査してきた. 今回は小児期における口唇閉鎖力と日常の呼吸状態との関係を調査することを目的に,名古屋市内の小学校に通学する6歳から12歳までの児童467名(男児234名,女児233名)とその保護者を対象とし,児童に口唇閉鎖力の測定,保護者に質問紙調査を行い,以下の知見を得た.
1.9歳未満の児童では,質問紙調査のすべての項目において,口唇閉鎖力に有意差は認められなかった.
2.9歳以上の児童では,常に口が開いている児童の口唇閉鎖力は,有意に低い値を示した. また,口呼吸や鼻・口両方で呼吸している児童の口唇閉鎖力は有意に低い値を示した.
これらのことから,概ね9歳までに正しい呼吸様式を習得することにより,口唇閉鎖力の向上につながり,不正咬合等の予防になると示唆された.