抄録
本研究では,吸啜期ラットの舌下神経核ニューロンに対する近傍領域の介在ニューロンの生理学的な特性を調べるために以下の3つの実験を行った.
1.蛍光逆行性色素標識による舌下神経核ニューロンの特定
2.舌下神経核ニューロンにおけるナイスタチン穿孔パッチクランプ法によるホールセル記録
3.ホールセル記録神経細胞の形態学的観察
その結果,
1.冠状断にて薄切された切片から,舌下神経核が正中付近の背側寄りに類円形の領域として観察され,強拡大像にて樹状突起の発達した大型のニューロンであることを確認した.
2,Bregmaから-13.0~-14.0mmの領域において,舌下神経核にシナプス後電位(PSP)を誘発するニューロンが多数認められた. いずれのレベルにおいてもEPSPとIPSPは混在しているのが確認されたが,EPSPのみもしくはIPSPのみ誘発された領域も存在した. 舌下神経核近傍領域から得られたPSPの潜時は,舌下神経核の吻側領域から中問領域においては短時間潜時ならびに長時間潜時も認められたが,尾側領域においては短時間潜時のみが認められた.
3.ホールセル記録を行ったニューロンに対して,バイオサイチンによる染色を行った結果,舌下神経核ニューロンの軸索の形態は双極型,偽単極型などが存在していた. 細胞体の形態は卵円形,楕円形であるのが認められた.