小児歯科学雑誌
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若年者の顎関節MR画像に認められる関節液像とその関連因子について
清水 久美子鶴山 賢太郎
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2007 年 45 巻 1 号 p. 8-15

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抄録

顎関節のMR画像検査において,上関節腔に貯留した関節液像病的な徴候であるという意見と健康な成人ボランティアの顎関節にも多く認められるとの報告もあり,MR画像検査において認められる関節液像の有無と顎関節の因子との関係は不明な点である. そこで本研究では,若年者の顎関節MR画像において認められる関節液像とその関連因子との関係について,多変量解析による検討を行った.
対象者は,日本大学松戸歯学部付属病院小児歯科部を受診した6歳から16歳(平均年齢11.6歳)までのMR撮像が可能であった209名(男児71名,女児138名)であり,両側418関節を評価対象とした.
外的基準変数である関節液像の評価は,T2強調画像において関節腔内にno fluidは,関節液像なしとし,minimal fluid,moderate fluid,marked fluid,extensive fluidは関節液像ありとした. その結果,関節液は418関節中,関節液像なしは349関節,関節液像ありは69関節であった.
また,説明変数には閉口位での関節円板位置,関節円板形態,開口位における関節円板の位置,関節円板側方転位,下顎頭形態,関節隆起形態とした.
多変量解析の結果,若年者の顎関節において,中等度から高度の関節円板前方転位や復位を伴わない関節円板前方転位などの重症の顎関節内障に加えて,変形した関節円板,急峻な関節隆起後斜面がMR画像における関節液像の出現に関与していることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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