小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
ペースト・ペーストタイプの新グラスアイオノマーセメントの歯質接着とフッ素徐放について
加我 正行岩渕 英明中村 光一橋本 正則八若 保孝
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 45 巻 1 号 p. 81-87

詳細
抄録
操作性に優れたペースト・ペースト練和タイプの光硬化型グラスアイオノマーセメント(フジフィルLC)が開発された.本研究ではその材料の特性を検索するため,ヒト歯質への接着性,フッ素徐放とフッ素のリチャージ効果および蒸留水に浸漬した場合の間接引張強さの変化について従来品(フジIXGP,フジIILC)と比較検討した.
1.走査型電子顕微鏡による材料とエナメル質の界面観察から,接着界面は全ての材料で緊密な接着を示した.また,象牙質とフジフィルLCの接着界面ではセルフエッチングプライマーの作用による樹脂含浸層様構造が観察された.
2.フッ素徐放量の測定では,測定開始1日目でフジフィルLCはフジIXGP,フジIILCよりも非常に高い値を示し,約2倍のフッ素の溶出量を示した.2日目,3日目になるに従って急激に減少し,4日目以降では,ごく微量の溶出が認められた.14日目に9000ppmNaF溶液で5分間フッ素をリチャージさせ,24時間後からフッ素溶出量を測定した.リチャージ効果でもフジフィルLCはフジIXGP,フジIILCに比べて約2倍の効果があった.
3.間接引張強さの測定では,全ての材料で試料作製1日目と30日目を比較し,間接引張強さに有意差が認められなかった.水中浸漬は材質に影響を与えず,長期間のフッ素の徐放はセメント材質を劣化させていなかった.フジフィルLCの間接引張強さはフジIILCよりやや低かった.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top