小児歯科学雑誌
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有限要素法による小児期の咬合育成に関する研究-吸指癖による上顎歯列および顎骨への影響-
久山 晃司嘉藤 幹夫大東 道治
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2008 年 46 巻 1 号 p. 42-52

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抄録
小児の咬合育成において,正常な歯列や顎骨の成長発育に障害となる吸指癖は,上顎前突,開咬,上顎歯列狭窄や交叉咬合などを発現させることになる。そこで,私たちは,小児の乾燥頭蓋から乳歯列期の上顎骨の三次元有限要素法モデルを作成し,口蓋部に吸指癖の影響を想定した荷重を負荷して上顎歯列および上顎骨の形態変化の解析を行った結果,以下の結論を得た。
1.上顎乳切歯では,指で加圧する部位が口蓋面の深い部位になるにつれて,over jetは大きくなり,overbiteは浅くなった。
2.上顎乳犬歯では,指で加圧する部位が口蓋面の深い部位になるにつれて前方移動量と上方移動量が多くなった。
3.上顎第一乳臼歯では,指で加圧する部位が口蓋面の深い部位になるにつれて側方移動量が多くなった。
4.上顎第二乳臼歯では,指で加圧する部位が口蓋面の深い部位になっても移動量は少なかった。
5.上顎骨では,指で加圧する部位が口蓋面の深い部位になるにつれて前方移動量と上方移動量が多くなった。
本研究は,口腔習癖に対する指導,診断や治療に活用できることを示唆している。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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