小児歯科学雑誌
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1歳児の口腔内状態および歯科相談の内容に関する調査
海原 康孝角本 法子番匠谷 綾子光畑 智恵子財賀 かおり鈴木 淳司香西 克之
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2008 年 46 巻 4 号 p. 455-462

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抄録

某病院小児歯科で歯科健診を受けた1歳児1,529人を対象として,健診結果と健診時の保護者の相談内容について集計した。その結果,以下の結論を得た
。1.萌出歯数は1歳0か月では7.5本,1歳6か月では13.8本であった。
2.齲蝕に罹患していた小児の割合は3.6%であった。また,1歳0か月~1歳5か月までの3.2%,1歳6か月~1歳11か月までの10.7%の小児が齲蝕に罹患していた。
3.齲蝕に罹患した小児のうち,85.5%が卒乳していなかった。また,61.8%に就寝前または夜間の母乳の摂取,29.1%に哺乳瓶による就寝前または夜間の飲料の摂取の習慣があった。
4. 1歳児を持つ保護者への「何か気がかりなことはありますか」という質問に対し,最も多かった回答は「歯みがきを嫌がる」であり,以下順に「歯ならび」,「歯みがきの方法」であった。
5.歯科健診を受けた1歳の小児のうち,43.0%が健診を契機に引き続き同病院小児歯科を定期的に受診するようになった。そのうち,健診をした時点で齲蝕に罹患していたのは4.4%であった。また,定期的に受診するようになった小児の保護者のうち,44.4%が歯科健診時に「特に気になることはない」という回答をしていた。このことから,齲蝕治療などの特別な動機がなくても,1歳時の歯科健診を契機に定期的に小児歯科を受診するようになる小児が多く存在することが判明した。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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