小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
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小児期の口臭に関する調査
口腔内状態と揮発性硫黄化合物濃度の関連性について
齊藤 正人佐藤 標倉重 圭史野呂 大輔倉重 多栄堀内 美帆子丹下 貴司廣瀬 弥奈池田 和博川上 智史安彦 善裕五十嵐 清治
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2008 年 46 巻 5 号 p. 566-569

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抄録
近年,口臭に関する社会的関心が高まっており,小児の口臭に不安を訴える保護者が増加してきている.成人の口臭では,口腔清掃不良,歯周病,齲蝕,および内科・耳鼻科疾患が原因となる揮発性硫黄化合物濃度(VSCs総量値)の検索は多数あるが,小児においてはほとんど報告されていない.そこで今回著者らは,4~6歳までの幼稚園児のうち保護者に同意を得られた59名(男児29名女児30名)を調査対象とし,ポータブルガスクロマトグラフィーOralChroma®を用いて,口臭測定を行い,硫化水素,メチルメルカプタン,および硫化ジメチルのVSCs総量値を測定した.また,口腔内検査として,df歯数と歯垢の付着程度,および性差に関して比較検討を行ったところ,以下の結論を得た.
1.df歯数とVSCs総量値の関係を多重比較検定したが,相関関係は認められなかった.
2.歯垢の付着程度とVSCs総量値の比較では,歯垢の付着程度が増加することによりVSCs総量値の有意な上昇が認められた.
3.性差におけるVSCs総量値の比較では,有意差は認められなかった.このことから,小児において口臭はdf歯数との相関関係は認められないが,歯垢付着程度に影響をうけることが示唆された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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