日本体育学会大会予稿集
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第67回(2016)
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一般研究発表(03) 体育心理学
03心−26−口−02 方位の記憶と再現は頭部の能動的回転に影響される
*大野 真澄白木 善英山本 真史小高 泰久代 恵介
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p. 110_2

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抄録

 運動を行うには、空間情報が必須である。空間情報を正確に知覚・記憶し、目的の運動を達成させるために視覚は重要な役割を担う。視線を空間内の対象物に向けるには、質量の小さい眼球だけを回転させればエネルギー効率的には有利であるが、多くの場合、頭部の回転も協調して生じる。このことから、頭部を能動的に回転させることは方位の記憶正確性の向上に寄与しているのだろうかという疑問が生じる。本研究では、これを検証する目的で水平面内の方位記憶再現課題を実験参加者に行わせた。方位の記憶と再現段階において、頭部を回転もしくは固定(眼球を回転)させる条件を設定し、方位の記憶・再現を正確に行うことのできる条件を調べた。解析の結果、記憶条件については、頭部を能動的に回転させた場合、固定した場合に比べて方位の再現正確性が有意に高かった(p<.05)。一方、再現条件による違いは見られなかった。この結果は、水平面内において方位を記憶する際、あえて質量の大きい頭部を回転させることにより正確性を高める機構が存在していることを示唆している。ヒトは無意識下にこの機構を利用して運動を生成・実行し、空間を巧みに捉えていると考えられる。

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© 2016 一般社団法人 日本体育学会
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