主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第67回大会
開催地: 大阪体育大学
開催日: 2016/08/24 - 2016/08/26
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競技スポーツにおいて、特定の競争相手に当たるライバルという存在がある。本研究では競技者が持つライバル観の構造を明らかにし、さらに競技者のライバル観と達成動機との関係を明らかにすることを目的とした。高校生競技者351名に筆者作成の競技者のライバル観尺度と若山(2006)のスポーツ達成志向性尺度を回答させ、共分散構造分析を行った。その結果、ライバル観として先行研究にある‘相互性・互恵性’や‘競争意識’の他に‘環境性対立意識’と‘反道徳性’の2因子が抽出された。特に、相手を肯定的に捉えるライバル観だけではなく、‘反道徳性’という否定的に捉えたものもあることが示された。また、達成動機とライバル観に因果関係があることが示唆された。‘目標’や‘競争参加’志向の達成動機が高い競技者では、ライバルを肯定的に捉えた‘相互性・互恵性’のライバル観が強かった。さらに‘勝利’志向の達成動機が強い競技者では、‘反道徳性’のライバル観が強いことから、ライバルを否定的に捉えている可能性がある。そのため勝利することのみにこだわるのではなく、目標や競争参加を達成動機とすることでライバルとの健全な競争が行われると考えられる。