主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第67回大会
開催地: 大阪体育大学
開催日: 2016/08/24 - 2016/08/26
p. 114_3
絶妙なタイミングによる華麗なパスワークのように、サッカーやホッケーなどの集団スポーツでは、コート上のプレイヤーの動きから、ヒトの高度で洗練されたチームワークを観察することができる。本研究の目的は、こうしたチームワークを実現するために、個々のプレイヤーが、どのように振る舞うべきかを明らかにすることである。そのために、3対1ボール保持課題を題材として、ヒト集団の動きを定式化した自己駆動粒子モデルを参考に、個々のプレイヤーを駆動する「見えない力」を運動方程式で記述した数理モデルを立て、課題における4名のプレイヤーとボールの動きをシミュレーションした。その結果、「空間の中心への誘引力」、「敵からの反発力」、「仲間との協調力」という3種類の「見えない力」をモデルに含めた場合に、熟練したサッカープレイヤーが示す同期的なチームワークを再現することができた。このことは、個々のプレイヤーが、空間や敵、仲間という3つの事象との距離間隔の変化に気づき、さらにその距離間隔に応じて変化する3つの「見えない力」を同時に察知して動くことが、高度なチームワークの実現に不可欠であることが示唆された。