日本体育学会大会予稿集
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第67回(2016)
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一般研究発表(03) 体育心理学
03心−26−口−19 スポーツにおけるポジティブシンキングをどう理解すればよいか?
機能的文脈主義に基づく思考の個人別構造の解釈事例より
*有冨 公教
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p. 116_1

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抄録

 第三世代認知行動療法におけるアプローチの一つであるアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)は、機能的文脈主義をその哲学的基礎としている(Hayes et al.、1999)。これによると、ある場面において生じる思考とは、その個人が辿った歴史や今置かれている状況(すなわち文脈)の相互作用によって生じる唯一無二のものであると理解される。そこで本研究は、スポーツの遂行中に生じる思考について、参加者本人の認識に基づいた解釈を求めることにより、その全体的構造と機能を個人別に検討した。まず大学生6名を対象に、インセンティブを用いた実験課題への参加を求め、その遂行中における思考を発話思考法により観測した。次に、得られた発話プロトコルについて、PAC分析(内藤、1993)を援用した面接調査を行い、各思考の内容やパフォーマンスに対する影響(+、-、0)について解釈を求めた。その結果、スポーツ中に生じる思考に対する解釈には多様な個人差があり、言語的な意味や内容が類似した思考であっても、それらに対するイメージやパフォーマンスへの影響についての認識は、個人によって大きく異なることが示唆された。

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© 2016 一般社団法人 日本体育学会
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