主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第67回大会
開催地: 大阪体育大学
開催日: 2016/08/24 - 2016/08/26
p. 116_2
本研究では、パラアスリートのスポーツキャリアの段階に応じた心理・社会的課題を検証し、支援方略を検討することを目的とした。男性7名、女性7名のエリート・パラアスリートを対象に、半構造化インタビューを実施した。得られたデータは、質的統合法により分析された。本研究では競技開始期から競技引退期までを対象に分析を行ったが、ここでは主に、競技開始期から発達期における受障時期による差異に着目し、結果を提示していく。分析の結果、先天性およびジュニア期に受障しているアスリートにおいては、自身の可能性の気づきを深める支援や、その後の競技生活を支える適切な競技者アイデンティティの土台の形成に向けて、言語的説得やモデリングを用いた育成の必要性が提示された。中途障害のアスリートにおいては、受障により喪失感や絶望感、自己否定などネガティブな心理状態を経験するが、パラスポーツを通して、目標の獲得や挑戦する気持ちを持つことで、生きることそのものへのモチベーションが喚起されていた。一方で、中途障害のアスリート特有の問題も複数挙げられた。