主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第67回大会
開催地: 大阪体育大学
開催日: 2016/08/24 - 2016/08/26
p. 117_3
本研究では、1対1の攻防における守備者の動きを数理モデルによって再現し、その熟練度を定量的に評価することを目的とした。1対1の攻防は二者の認知、運動能力が相互作用する複雑な現象である。先行研究では実測に基づいて1対1の攻防をモデル化し、成功失敗を分ける重要な変数を明らかにしている(Fujii et al.、2015)。この研究における守備者モデルは単一の認知、運動制御過程を仮定しているが、実際の守備者は熟練度によってその制御過程が異なる可能性がある。そこで本研究では、熟練度の異なる守備者の動きをそれぞれ数理モデルによって再現することで、守備者の熟練差について検討した。まず、11m四方のコート内で1対1の突破-阻止課題を行い、位置座標を取得した。なお、時間は無制限とし、決着がつくまで行わせた。次に、実測の守備者と守備者モデルの移動軌跡を比較し、残差平均によって評価した。未熟練守備者の動きは古典的追従モデルによって再現され、常に攻撃者に向かって進行していることが示された。また、熟練者の動きは予測モデルによって再現され、攻撃者の未来の位置に向かって進行していることが明らかになった。