主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第67回大会
開催地: 大阪体育大学
開催日: 2016/08/24 - 2016/08/26
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【目的】トップアスリートを対象に負傷による競技中断に伴う心理的問題と、その背景について検討することを目的とした。【方法】1名を対象に約60分間の1対1による半構造化インタビューを2回実施した。初めに負傷時から復帰直後までを5つの期間に分類、各期間について気分の変化、リハビリへの専心度、周囲からの支援などについて得点化をし、これらを基に聞き取りを行った。その後、全ての語りを逐語化し、カテゴリー別に分類、周囲との関わりなどを含めて考察を行った。【事例の紹介】男性、30歳、各年代の日本代表や全国優勝も3度経験。社会人になってからも日本のトップとして活躍をしていたが、海外へのチャレンジを目前に負傷、リハビリを実施したが目標期間内での復帰は叶わなかった。その後は心身症を発症、競技中断を余儀なくされた。【結果と考察】競技活動が自己そのものであり、その喪失感は計り知れない。また、その背景にはトップアスリート特有の周囲からのプレッシャーや自己欲求の高さなどが影響していると推察された。負傷後は身体だけではなく、心理的な支援も必要であると報告されているが、本事例によりその必要性を改めて認識することとなった。