日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
ISSN-L : 2424-1946
第67回(2016)
会議情報

一般研究発表(03) 体育心理学
03心−24−ポ−42 負傷による競技中断に伴う心理的問題について
トップアスリートにおけるスポーツ傷害の意味
*辰見 康剛坂口 尚希土屋 裕睦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 131_2

詳細
抄録

 【目的】トップアスリートを対象に負傷による競技中断に伴う心理的問題と、その背景について検討することを目的とした。【方法】1名を対象に約60分間の1対1による半構造化インタビューを2回実施した。初めに負傷時から復帰直後までを5つの期間に分類、各期間について気分の変化、リハビリへの専心度、周囲からの支援などについて得点化をし、これらを基に聞き取りを行った。その後、全ての語りを逐語化し、カテゴリー別に分類、周囲との関わりなどを含めて考察を行った。【事例の紹介】男性、30歳、各年代の日本代表や全国優勝も3度経験。社会人になってからも日本のトップとして活躍をしていたが、海外へのチャレンジを目前に負傷、リハビリを実施したが目標期間内での復帰は叶わなかった。その後は心身症を発症、競技中断を余儀なくされた。【結果と考察】競技活動が自己そのものであり、その喪失感は計り知れない。また、その背景にはトップアスリート特有の周囲からのプレッシャーや自己欲求の高さなどが影響していると推察された。負傷後は身体だけではなく、心理的な支援も必要であると報告されているが、本事例によりその必要性を改めて認識することとなった。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本体育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top