日本静脈経腸栄養学会雑誌
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臨床経験
終末期患者に対する栄養治療としての在宅静脈栄養法の検討
山田 博文原 宏明木坂 京子
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2015 年 30 巻 2 号 p. 713-716

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抄録

「目的」終末期癌患者の在宅静脈栄養法(home parenteral nutrition;以下、HPNと略)が延命期間を延長する可能性について報告がある.我々は、食事摂取が低下した状態の終末期癌患者に対して癌治療における栄養治療の一環として HPN治療を導入した.治療経過について報告する.「対象及び方法」2005年1月から2011年5月の間に33名の終末期患者に HPNを導入した.「結果」 HPNを導入した患者背景は、平均年齢が66歳であった.男性25名(76%)であり、導入原因の症状は癌性腹膜炎や消化管狭窄、食欲不振であった.平均在宅日数が65.1日であった.32名は死亡されおり、当院にて死亡された方が25名(72%)であった.その内再入院後から死亡されるまで期間は25日であり、4日以内の患者が28%認められた.「結論」平均在宅日数は比較的長かったが、時間的な制約があるため導入までの調整が重要であった.患者の多くが当院にて死亡されており、地域連携と再入院時の対応が重要であった.

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© 2015 日本静脈経腸栄養学会
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