2016 年 31 巻 5 号 p. 1118-1125
短腸症候群の腸管リハビリテーションにおいて、Serial transverse enteroplasty(以下、STEPと略)は残存腸管長を延長し拡張した腸管のうっ滞を改善させる有効な手段であり、重要な外科治療として位置づけられている。しかし、その適応基準は明確に定められてはいない。今回、短腸症候群の1例において、内科的治療が奏功しなかった腸管不全関連肝機能障害(intestinal failure associated liver disease;以下、IFALDと略)の主因が残存小腸の拡張とうっ滞であると考え、シネ MRIで拡張腸管の同定と運動機能評価を行い、消化管シンチグラフィーを用いて拡張腸管の内容物排出障害を評価し、STEPの適応であると判断し得た症例を経験した。本項では、症例を供覧しつつ、消化管機能評価におけるシネ MRIと消化管シンチグラフィーの役割について解説する。