2016 年 31 巻 5 号 p. 1130-1135
【目的】高齢者の摂食障害において経腸栄養の維持はその予後を左右するが、安易な経管栄養導入にも疑問が残る。そこで、喫食量増加の取り組みが経管栄養よりも優先可能な期間を検討した。【対象と方法】NSTが介入した112症例について、経腸摂取熱量が総必要熱量 (TEE) の60%未満であった期間 (%EN<60期間) と転帰、予後推定栄養指数 (PNI) を解析した。【結果】1) %EN<60期間が15日以上の症例では嚥下障害が増加、経管栄養による補完の必要性が高い。2) %EN<60期間が29日を超えると死亡率が上昇する。3) 経管栄養導入後の生存率は、導入前の PNIが 30以上の群で有意に高い。【結論】喫食量増加の取り組みが経管栄養よりも優先可能な期間は、経口的に TEEを充足できなくなってから14日間までである。経管栄養は、%EN<60期間15? 28日目または PNI 30未満となる前に導入されることが望ましい。