2017 年 32 巻 2 号 p. 1003-1006
【目的】院内教育では教育者側と学習者側でニーズに差違を認めることがある。今回、看護師からのCVポート穿刺抜針技術の習得という要望と、NSTからのCVポート管理全般の知識習得という異なるニーズの元で研修会を実施し、アンケートによる研修プログラムの有効性を分析・評価した。【方法】研修会参加看護師92名を対象として、研修会前後にアンケートを行った。調査期間、回数は2015年3-7月、計7回。調査項目は、看護年数、CVポート管理経験、研修前のCVポート管理に対する意識、研修後の知識・技術・意識変化の自己評価、研修会評価の計20項目。基本属性を単純集計後、研修前の回答者背景と研修後の自己評価項目を、研修後の意識変化項目に対して単変量および多変量解析した。多変量解析は研修後の意識変化を目的変数として、前記解析でP値が0.10未満の項目を説明変数とする順序ロジスティック回帰分析で検討した。有意水準は5%。【結果】有効回答91名(98.9%)。研修会全体の評価は高かった。回帰分析の結果、研修後に意識変化が現れた要因として、研修前の項目では穿刺抜針の必要性(オッズ比0.017, P=0.026)であったが、研修後の項目ではCVポート全般の知識習得(オッズ比0.002, P<0.001)とトラブル対応への理解度(オッズ比0.102, P=0.014)が有意に検出された。【結論】研修後のCVポート管理に対する意識変化により強く影響を与えた因子は、研修前では穿刺抜針という技術的な要素であったが、研修後ではCVポート全般の管理能力獲得に関連する要素であった。