2017 年 32 巻 2 号 p. 995-998
症例は56歳、女性。右側腹部痛で受診し回盲部から上行結腸の広汎な炎症による腹膜炎を認めたが、穿孔や腸閉塞の所見は認めず入院し保存的治療を開始した。10日目に回盲部に限局した膿瘍を形成し、ドレナージ術を施行した。原因は虫垂炎と考えられ、術後5日目よりドレーンから便汁の排液を認めた。TPNを開始し抗生剤投与で炎症は改善したが排液は続いた。瘻孔形成を確認しコラーゲンペプチド高含有飲料を経口摂取した。投与40日後に瘻孔の閉鎖を確認し以降約18ヶ月間再燃を認めていない。消化管皮膚瘻治療には局所治療、感染制御、栄養療法、外科治療などに加え、全身状態が安定している場合には、コラーゲンペプチド投与も補助療法として選択肢となり得る。