2017 年 32 巻 3 号 p. 1174-1177
【目的】福島県における震災下での栄養管理、NST活動について、県内の医療機関にアンケート調査し、問題点を検討した。【対象および方法】福島県内の施設での震災下における施設の被害状況、食事の備蓄、経腸栄養、静脈栄養、NST活動状況を調査した。【結果】施設被害は67%で、断水が多く水の確保が重要であった。食料はほぼすべての施設で入院患者の6食分以上の備蓄をしていた。経腸栄養剤の備蓄率は40%足らずで、避難患者を受け入れた施設での不足が目立った。輸液の不足は29%であった。震災直後からNST活動が継続できていた施設は25%であったが、4月末までに95%が活動を再開した。【結論】震災により食料、経腸栄養剤、輸液製剤が不足した。さらに放射能被害から人材不足となりNST活動は困難であったが早期再開し得た。震災時は自施設だけでなく、他施設や行政、栄養関係団体も含めた全国規模での情報共有、物資供給、支援活動のネットワークが必要である。