2017 年 32 巻 3 号 p. 1182-1184
バルプロ酸ナトリウム投与下の在宅経管経腸栄養管理高齢患者3名に対して血清カルニチン濃度測定を行いカルニチン欠乏症の有無を後向きに検討した。カルニチン欠乏症が認められた場合カルニチン補充療法を行った。今回調査した3例ではカルニチン欠乏症を呈した。カルニチン分画における遊離カルニチンは18.4±1.8μ mol/Lであり基準値 (36μ mol/L) を下回っていた。血液生化学検査ではアルブミン、ナトリウム、貧血マーカーの異常が認められた。カルニチン補充療法としてレボカルニチン塩化物0.3g/日の経管投与を行い遊離カルニチンは53.3±1.6μ mol/Lへ改善した。結論、バルプロ酸ナトリウム投与下の在宅経管経腸栄養管理高齢患者の今回調査した3例にカルニチン欠乏症を呈した。レボカルニチン塩化物0.3g/日の経管投与で遊離カルニチンの基準値内への改善が認められた。バルプロ酸ナトリウム投与下の在宅経管経腸栄養管理高齢患者へのカルニチン濃度測定が有用である事が示唆される。