日本静脈経腸栄養学会雑誌
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症例報告
胃全摘術後患者の肺炎治療において経皮経食道胃管挿入術の手技を用いた小腸経管栄養が有効であった1例
後町 杏子鷲澤 尚宏本間 栄
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2017 年 32 巻 4 号 p. 1366-1368

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抄録

症例は22年前に胃癌に対して胃全摘、Roux-en-Y再建の既往がある78歳の男性で、誤嚥性肺炎のため入院した。上部消化管内視鏡検査(Upper Endoscopy;UE)と造影検査にて、食道空腸吻合部は横隔膜上の縦隔に位置し、空腸盲端の拡張と肛門側の空腸入口部の狭窄を認め、食道へ逆流しやすい形状であることが確認された。呼吸機能が不良で手術は危険性が高いため、経皮経食道的胃管挿入術(Percutaneous Trans-Esophageal Gastro-tubing;以下、PTEGと略)を行い、内視鏡ガイドでカテーテル先端を狭窄部肛門側の空腸に留置し、経管栄養を開始した。その後、肺炎は再燃せず、活動性と筋力が回復した。胃全摘後の繰り返す誤嚥性肺炎の原因として、再建空腸肛門側の狭窄による通過障害で起きた食物や唾液の逆流が考えられ、外科的治療を含む治療法の適応が検討されたが、PTEGの手技を用いてカテーテル先端を空腸に留置した経管栄養が選択され、これによって肺炎の再発を予防しながら全身状態を改善することに成功した。

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© 2017 日本静脈経腸栄養学会
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