2017 年 32 巻 5 号 p. 1468-1473
【目的】胃癌術後の短期的体重減少(退院初回再診時までの体重減少)および長期的体重減少(退院半年後までの体重減少)に関わる因子を検討することを目的とした.【対象及び方法】2014年9月から2015年6月までに当院で胃切除術または胃全摘術が施行され,半年後の外来フォローが行えた104例を対象とし,後方視的に検討した.各検討項目についてFisher直接確率法,t検定,Mann-Whitney U検定を用いて単変量解析を行い,次いで重回帰分析による多変量解析を行い,P<0.05を有意差ありと定義した.【結果】短期的体重減少の検討では,多変量解析において術前化学療法(P=0.013)で有意差を認めた.長期的体重減少の検討では,多変量解析でSkeletal muscle mass index(以下,SMIと略)の減少率(P=0.020),短期的体重減少率(P<0.001)で有意差を認めた.【結論】術前化学療法が短期的体重減少に関与し,短期的体重減少率とSMI減少率が長期的体重減少に関連していた.