日本静脈経腸栄養学会雑誌
Online ISSN : 2189-017x
Print ISSN : 2189-0161
特集
脂肪乳剤使用の現状:内科領域
合志 聡吉田 悠紀佐藤 毅昂禿 晃仁鈴木 庸弘佐藤 知巳
著者情報
キーワード: 脂肪乳剤, 静脈栄養, 内科
ジャーナル フリー

2018 年 33 巻 2 号 p. 731-737

詳細
抄録

内科領域における脂肪乳剤の使用については末梢静脈栄養施行の段階より併用すべきものである。末梢静脈栄養の対象は消化管機能を有していない内科疾患であるが、これらの患者には入院時より必要エネルギーを充足させる必要があることから、脂肪乳剤を併用することでそれに近づけることが可能になる。また脂肪乳剤の併用は必要エネルギー充足の観点のみならず、NPC/N比の考え方からも効率よいエネルギー代謝、タンパク質合成において重要なことである。一方で脂肪乳剤の投与にはいくつかの注意点が存在するが、病態を見極めることで使用可能な症例は数多くいる。我々は総投与エネルギーの約60%を脂肪乳剤で投与しても1週間程度であれば脂質代謝に大きな変化を来すことなく、安全に投与できることを示しており、0.1g/kg/時の投与速度を厳守することが重要である。しかしながら、その投与速度も今後のさらなる検討によって連日投与での推移、安全性の検証ができれば、変更できる可能性も示唆されている。

著者関連情報
© 2018 日本静脈経腸栄養学会
前の記事 次の記事
feedback
Top