2018 年 33 巻 2 号 p. 747-752
【目的】本研究では胃癌術後の合併症に関わる因子を検討した.【対象と方法】2014年9月から2015年6月までに胃癌手術が行われた115例のうち,胃切除および胃全摘が施行された104例を対象とし,Clavien-Dindo分類gradeⅡ以上の術後合併症に関わる因子を検討した.検討は重回帰分析で行い,P<0.05を有意差ありと判定した.【結果】全104例のうち,術式は胃全摘22例,胃切除82例,到達法は開腹18例,腹腔鏡86例だった.このうち20例(19.2%)に術後合併症を認めた.術後合併症に関わる因子の単変量解析では,リンパ節転移,内臓脂肪量,Body Mass Index(以下,BMIと略)25kg/m2以上,サルコペニア肥満,握力低下,好中球数で統計学的有意差を認めた.多変量解析では性別,年齢,慢性腎臓病,サルコペニア肥満,握力低下,BMI25kg/m2以上で統計学的有意差を認めた.【結論】胃癌術後の合併症予測ツールとして,eGFR,術前BMI,握力値,内臓脂肪量および筋肉量の測定が有用であると考えられた.