日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
横隔膜静脈瘤
高木 均星野 崇乾 正幸長沼 篤工藤 智洋柿崎 暁松井 正之小島 明大野 順弘
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2009 年 15 巻 2 号 p. 166-168

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抄録
横隔膜静脈瘤は,出血性の異所性静脈瘤としては稀ではあるが,CTなどで描出される心臓,横隔膜近傍の静脈瘤は門脈圧亢進症患者の約20%に見られたとする報告もあり,発生頻度は必ずしも低くはない.破裂すれば腹腔内,あるいは胸腔内への出血を惹起し得る.自験例,68歳女性のC型肝癌・肝硬変に合併した横隔膜静脈瘤破裂症例を提示した.本例は4年にわたり肝癌の治療,再発を繰り返しており,食道静脈瘤の内視鏡治療も行われていた.その経過中に血胸に伴う呼吸困難を発症し,剖検で右横隔膜静脈瘤の破裂が確認された.一般的な治療としては画像で確認できればinterventionの可能性はあるものの,出血による状態悪化で治療困難が予想される.門亢症患者において横隔膜,心陰影近傍の異常血流が見られた場合は,横隔膜静脈瘤は念頭に置くべき病態である.
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© 2009 日本門脈圧亢進症学会
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