日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
肝硬変と非硬変性門脈圧亢進症の肝病理
大部 誠
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2009 年 15 巻 4 号 p. 314-323

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抄録
肝硬変の病理組織診断にあたって成因の同定・推定は重要である.従来cryptogenicとされてきた肝硬変は現在ではその多くはNASHとされているが,NASHの所見を認めない場合もあり,NASHのburned-outなのか,それとも他に原因があるかどうか,という問題が残る.一方,非硬変性門脈圧亢進症は特発性門脈圧亢進症 (IPH),結節性再生成過形成 (NRH),肝外門脈閉塞症 (EHO),その他に分類される.IPHはしばしば結節形成を伴いNRHとの異同が問題となる.また,不完全隔壁性肝硬変 (ISC)は形態学的には肝硬変の範疇に属するが,線維化の程度に比して門脈圧亢進が顕著であることから,非硬変性門亢症として発症し線維伸長と結節形成を伴ってきたものと解釈することも可能である.非硬変性門亢症疾患の組織診断は定型的な場合は容易であるが,長い経過中に他の疾患カテゴリーとoverlapしてくることがあるため,経時的な画像診断など臨床経過を考慮に入れて組織診断を行うことが重要である.
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© 2009 日本門脈圧亢進症学会
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