日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
胃静脈瘤に対する内視鏡治療とIVR治療の比較
小嶋 清一郎荒瀬 吉孝高清水 眞二加川 建弘白石 光一峯 徹哉小泉 淳幕内 博康渡辺 勲史
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2012 年 18 巻 1 号 p. 26-35

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抄録
過去9年間に胃静脈瘤の治療を受けた患者99例を対象として,胃静脈瘤に対する治療効果を検討した.基礎疾患はC型肝硬変が34%,アルコール性肝硬変が29%,B型肝硬変が10%であった.胃静脈瘤の治療法は内視鏡が56%で最も多く,interventional radiology; IVRが34%,両者の併用治療が10%であった.治療時期は予防例が51%で最も多く,緊急例が36%,待期例が13%であった.治療後の胃静脈瘤の消失率は内視鏡治療で94.5%,IVR治療で91.2%と両者とも良好な成績であった.予防例では緊急・待期例に比して胃静脈瘤の無再発期間が有意に長く(p<0.05),内視鏡治療群に比較してIVR治療群の無再発期間が有意に長い結果であった(p<0.05,ハザード比5.8).輸血を要した症例では不要の症例に比較して無再発期間が有意に短いことが明らかとなった(p<0.05,ハザード比4.2).生存期間は肝細胞癌合併群で有意に短く(p<0.0001,ハザード比11.5),肝予備能不良例で有意に短い結果であった(p<0.0001,ハザード比7.8).出血例では治療方法として内視鏡とIVRのどちらを選択してもよいことが明らかとなった.予防治療としては肝予備能が悪化しないうちにIVRで治療することが長い無再発期間を得るために必要であることが示された.
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© 2012 日本門脈圧亢進症学会
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