抄録
門脈圧亢進症における胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)は消化管出血や貧血の原因となる病態である.胃前庭部に散在する発赤,血管模様が特徴で,放射状に走行するwatermelon stomachと称されるtypeとdiffusely spread typeに分けられる.病態は粘膜固有層における毛細血管の拡張と増生で,機械的刺激により容易に出血するため慢性貧血の原因となる.最近は内視鏡治療が主体でアルゴンプラズマ凝固療法は安全で有用性が高いと報告されているが,再発頻度が高いのが問題である.難治性GAVEに内視鏡的結紮術を試みた報告もあり,考慮すべき治療法である.