日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
胃静脈瘤と肝性脳症に対するPTO,B-RTOおよびそれらの併用療法(DBOE)の有用性に関する検討
安中 哲也河本 博文萩原 宏明三宅 康広山本 和秀
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2013 年 19 巻 2 号 p. 107-112

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抄録
当科において2003~2010年に胃静脈瘤15例,肝性脳症10例の計25例に塞栓療法を施行した.内訳はB-RTO 4回,PTO 12回,B-RTO とPTOを併用したDBOE 8回,trans ileocolic vein obliteration(TIO)1回であった.胃静脈瘤にはB-RTO 4回,PTO 3回,TIO 1回,DBOE 9回の治療手技が行われた.全例で胃静脈瘤の改善が得られたが,1例で胃静脈瘤再発,5例で食道静脈瘤増悪がみられた.食道静脈瘤は全例内視鏡的に治療し得た.1年,5年生存率はそれぞれ80%,56%であった.肝性脳症にはB-RTO 2回,PTO 9回の治療手技が行われた.脳症症状,血清アンモニア,プロトロンビン時間,Child-Pugh scoreに有意な改善がみられた.1年,5年生存率はそれぞれ80%,40%であった.これらのIVR治療は胃静脈瘤と肝性脳症に対する,安全で有効な治療法であると考えられた.
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© 2013 日本門脈圧亢進症学会
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