日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
食道静脈瘤出血に対する硬化療法を主とした内視鏡治療とその長期成績
—31年間の治療実績, 経験から—
岩瀬 弘明
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2014 年 20 巻 2 号 p. 112-121

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抄録
食道静脈瘤に対しては, 硬化剤を静脈瘤からすだれ状血管網, 供血路まで注入する内視鏡的硬化療法(endoscopic injection sclerotherapy : EIS)は止血効果, 静脈瘤消失に最も有効な内視鏡的治療法である. 硬化剤を供血路まで注入することが重要であり, 硬化剤のシャント流出また口側流出静脈瘤は食道胃接合部近傍静脈瘤穿刺により注入可能となる. 内視鏡的静脈瘤結紮術(Endoscopic variceal ligation : EVL)は簡便で合併症が少なく重症例, 活動性出血時には適切な治療法であるが, 再出血リスクが高いため食道静脈瘤の安全な管理には供血路まで治療できるEISの追加が必要である. 当院における過去31年間の食道静脈瘤出血367例の内視鏡的治療の緊急止血率は95.6%であり, 5年以上生存例には再出血は稀であった. 1年, 10年, 20年生存率はそれぞれ75.5%, 8.0%, 4.3%であり, 死因は肝不全51.8%, 肝がん20.9%, 静脈瘤出血死7.9%であった. 多変量解析の検討では肝がん, Child-Pugh分類が生命予後と有意に相関した. EISを主とした内視鏡的治療は出血死を防ぐのに有用であったが, 長期生存を期待するには積極的な肝がん治療, 肝機能改善のため薬物治療, 栄養生活指導, 症例によっては脾摘, 肝移植など集学的治療が必要であった.
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© 2014 日本門脈圧亢進症学会
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