日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
血小板減少症に対する部分的脾塞栓術・脾摘後にインターフェロン治療を受けたC型肝硬変例の長期予後
森田 進松本 晶博梅村 武司柴田 壮一郎市川 雪木村 岳史城下 智小松 通治田中 榮司
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2014 年 20 巻 2 号 p. 122-125

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抄録
部分的脾塞栓術(PSE)・脾摘後にインターフェロン(IFN)治療を受けたC型肝硬変症例の予後をコホート研究にて検討した.経過観察開始直後からPSE・脾摘群が対照群より生存率が高い傾向にあり,3年目でPSE・脾摘群生存率 = 93%,対照群生存率 = 66%(p = 0.034),4年目ではPSE・脾摘群 = 93%,対照群 = 61%(p = 0.016),と統計学的に有意の差をみとめた.IFN治療の効果別にみた生存率の比較では,SVR群では,PSE・脾摘群と対照群は共に予後良好で両群間に有意差は認めなかった.非SVR群では,PSE・脾摘群は対照群に比較して予後良好であったが有意差は認められなかった.観察開始から4年目の生存率に寄与する因子としては,開始時のアルブミン値(p < 0.001),肝細胞癌の有無(p = 0.008),PSE・脾摘施行の有無(p = 0.031)が有意であった.
C型肝硬変例において,PSE・脾摘はIFN治療の適応を拡大させるばかりでなく,肝硬変の予後を改善する可能性が示唆された.
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© 2014 日本門脈圧亢進症学会
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