抄録
当院で診断した十二指腸静脈瘤17例の病態と治療方針を検討した.出血群においてびらん,食道静脈瘤治療歴が有意に多く認められ,RC signは陰性のことが多かった.出血例に対する緊急止血法は,α-cyanoacrylate monomerを使用した内視鏡的硬化療法(EIS)などの内視鏡治療を第一選択とすべきである.血行動態の把握は,Multi detector CT(MDCT)やMagnetic Resonance Angiography(MRA)などによる画像診断が有用である.出血危険因子は,胃静脈瘤と同様で,急速増大例,びらんやRC signを有する症例,F2以上の緊満例がRisky varicesとしてあげられた.肝外門脈閉塞症,高度肝障害例を除く,Risky varicesは積極的に予防的治療を行うべきであると考える.