日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
門脈圧亢進症に対する部分的脾動脈塞栓術の効果と合併症の検討
林 学阿部 和道渡辺 晃高橋 敦史菅野 有紀子岡井 研今泉 博道高木 忠之引地 拓人小原 勝敏渡辺 浩志大平 弘正
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2015 年 21 巻 1 号 p. 26-31

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抄録
近年,部分的脾動脈塞栓術(partial splenic embolization:PSE)の安全性が確立され,血小板減少や食道胃静脈瘤などの改善が期待されている.今回我々は,慢性肝疾患に伴う門脈圧亢進症に対して行ったPSEの効果と合併症について検討した.対象は,当院でPSEを施行された慢性肝疾患の22例.対象患者は平均年齢60.9歳,男:女15:7であり,肝癌合併9例,食道胃静脈瘤合併15例.Child A/B/Cは6/15/1であった.方法は,PSE施行前,2週間後,24週間後の血球数,肝機能,上部消化管内視鏡所見,合併症について検討した.白血球数と血小板数は,治療前と比較して2週間後,24週間後で有意に上昇した(p<0.05).食道胃静脈瘤合併例でPSEを行った9例中8例は内視鏡的静脈瘤硬化療法後再発を認めなかった.重篤な合併症は,DICを2例で認め,TATが鑑別に有用であった.
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© 2015 日本門脈圧亢進症学会
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