日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
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臨床研究
高度門脈腫瘍栓(Vp3/4)合併肝細胞癌に対する肝動注化学療法施行例における食道静脈瘤の経過からみた治療方針に関する考察
児玉 英章相方 浩苗代 典昭小林 知樹柾木 慶一宮木 大輔河岡 友和平松 憲今村 道雄山上 卓士茶山 一彰
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2015 年 21 巻 1 号 p. 32-37

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抄録
高度門脈腫瘍栓(Vp3/4)合併肝細胞癌(肝癌)に対して肝動注化学療法(HAIC)を施行した73症例において,食道静脈瘤の臨床経過および予後を後方視的に解析した.経過中の食道静脈瘤増悪率は12か月36%,24か月60%,出血率は12か月25%,24か月36%,生存率は12か月38%,24か月24%であった.HAIC奏功例と非奏功例の12, 24か月の出血率は,それぞれ奏功例7%,7%,非奏功例30%,36%であり,HAIC奏功例の出血率は有意に低率であった.また出血例の生存率は12か月31%,24か月10%,非出血例の生存率は12か月41%,24か月28%であった.RC sign陽性,F因子2または3, HAIC非奏功のいずれかを有する出血高リスク症例における門脈腫瘍栓への放射線治療併用例では,非併用例に比較して有意に静脈瘤出血率は低率であった.
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© 2015 日本門脈圧亢進症学会
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