日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
特発性門脈圧亢進症に伴う巨大な脾腎シャントにより慢性糸球体腎炎をきたしたと考えられた1例
横山 圭二平野 玄竜田中 崇阿南 章入江 真向坂 彰太郎
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2015 年 21 巻 1 号 p. 38-43

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抄録
症例は35歳女性.16歳時より尿潜血が持続.全身倦怠感,蛋白尿を指摘され,当院腎臓内科入院.腎生検にてメサンギウム増殖性糸球体腎炎(MesGN)と診断された.その際,腹部造影CTにて巨大な脾腎シャントと肝内に流入する門脈血流の低下を認めた.各種慢性肝疾患や肝線維化を示唆する所見に乏しく,脾腎シャントの原因精査目的で腹腔鏡下肝生検を施行,特発性門脈圧亢進症(IPH)に合致する所見が得られた.肝内門脈血流の回復を目的としてバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)を施行し,脾腎シャントの良好な閉塞と肝内門脈血流の改善を認めた.B-RTO後,全身倦怠感は消失,肝予備能も改善し,以後3年にわたり経過良好である.一方,尿蛋白の改善は緩徐であり,糸球体腎炎発症の原因として,門脈-大循環シャントに起因する肝網内機能の低下が考えられた.
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© 2015 日本門脈圧亢進症学会
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