抄録
2006年11月から2007年6月にかけて、インドネシア、南東スラウェシ州クンダリ周辺において、サゴヤシ生育地(園)の土壌の理化学的性質を明らかにするとともに、サゴヤシ生育地周辺のカシュー及びカカオ園並びに水田の土壌の理化学的性質と比較した。土壌は、ポハラ地区のラロマサラ村及びラコメア村、プワツ地区のワツロンド村及びコンダ地区のコンダ村で土壌表面から0-15cm と15- 30cmのところから採集した。採集地の土壌タイプは、ワツロンド村では泥炭質土壌であったことを除くと、いずれも鉱質土壌であった。本調査結果より、サゴヤシ園の土壌の理化学的性質は、周辺土壌の性質の影響を受け、採集場所によって異なることがわかった。サゴヤシ園土壌の容積重は、0.3-1.1gcm-3を示し、土性は砂壌土からシルト質埴土であった。pHは、強酸性~中性であった。全窒素は低~非常に高い、可給態リンは非常に低い~中、交換性カリは低~中、CECは低~高、全炭素は低~非常に高いであった。サゴヤシ園の周辺に位置するカシュー園及びカカオ園の土壌は、サゴヤシ園土壌に比べて養分含量及びpHは同等または低かったが、容積重は重かった。一方、サゴヤシ園の周辺に位置する水田土壌は、毎年すき込まれるイナわらに由来する有機物の増加により、サゴヤシ園土壌に比べて全炭素、全窒素及びCECが高く、容積重が低い傾向を示した。サゴヤシの生育する泥炭質土壌のpHは強酸性~酸性、CEC、全炭素及び全窒素は非常に高く、可給態リン及び交換性カリは低、容積重は0.3g cm-3であった。土壌の理化学的特性とサゴヤシの生育、デンプン生産との関係について議論した。