日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
Print ISSN : 1344-8447
ISSN-L : 1344-8447
原著
トルバプタン治療を導入した難治性腹水合併肝硬変症のCONUT法を用いた栄養学的評価と長期予後に関する検討
島田 昌明岩瀬 弘明平嶋 昇龍華 庸光
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 22 巻 4 号 p. 221-225

詳細
抄録

【目的】難治性腹水合併肝硬変症のトルバプタン治療について栄養学的治療効果と長期予後を検討した.【方法】2011年4月以降に腹水合併肝硬変症44例にトルバプタン治療を導入した.投与前と3週後の腹満をSupport Team Assessment Schedule日本語版(STAS-J)でスコア化した.栄養学的評価はControlling Nutritional Status(CONUT)法を用いた.食事摂取エネルギー量およびCONUTスコアを血清アルブミン(Alb)値,総リンパ球数(TLC),総コレステロール(T-cho)値から算出し栄養状態を評価した.長期予後についても検討した.【結果】STAS-Jによる腹満改善は65.9%に認めた.Alb, TLC, T-choはいずれも増加し,CONUTスコアは8.6±2.1から7.5±2.7へ改善した(p<0.01).トルバプタン治療無効例のCONUTスコアは9.6±1.6から9.3±2.1と不変(NS)であったが,有効例では8.2±2.2から6.8±2.7と改善した(p<0.01).トルバプタン導入前のCONUTスコアは無効例でより不良であった(p<0.05).平均生存期間は412日で,無効例は234日であったが,有効例では508日(p<0.05)と予後が改善した.【結論】腹水合併肝硬変症に対するトルバプタン治療の効果予測因子として導入前の栄養状態が重要であり,患者の栄養状態はトルバプタン治療を導入することにより改善し,予後の向上が期待された.

著者関連情報
© 2016 日本門脈圧亢進症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top