日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
胃静脈瘤に対するバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術の難易度予測に関する検討
—側副路としての左胃静脈処理の観点から—
工藤 康一門野 義弘林 洋光藤山 俊一郎
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2016 年 22 巻 4 号 p. 226-233

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抄録

孤立性胃静脈瘤に対して当院でB-RTO(Balloon-occluded Retrograde Transvenous Obliteration)治療を試みた19例について,側副路処理が困難となる要因を治療完遂例と非完遂例に分けて検討した.側副路処理中にバルーン閉塞下逆行性静脈造影で左胃静脈の逆流が描出される例は,非描出例と比べて治療完遂率が低かった.その逆流程度を層別化すると,左胃静脈が胃静脈瘤へ流入する推定割合(左胃静脈径2/胃静脈瘤径2)と正の相関を示した.同割合がおおむね0.45を超えると,定型手技での左胃静脈閉鎖は困難となり,B-RTOを完遂できた例はなかった.副流入路としての左胃静脈は,B-RTOの際に逆流を来し処理困難な副流出路となることがある.同割合はB-RTO側副路処理の難易度を事前に予測する指標となりうるかもしれない.

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© 2016 日本門脈圧亢進症学会
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