日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
Print ISSN : 1344-8447
ISSN-L : 1344-8447
症例報告
内視鏡的硬化療法を施行した十二指腸静脈瘤破裂2症例の検討
野口 謙治
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 22 巻 4 号 p. 272-279

詳細
抄録

症例1は70歳代女性,肝硬変の経過中に貧血の進行を認め,EGD行ったところ十二指腸下行脚にF2の静脈瘤を認め,待機的にEISを行いcyanoacrylate 2 mlを血管内に注入し軽快した.症例2は70歳代女性,HCCに対するTACE目的の入院中に行ったEGDで十二指腸下行脚にF2の静脈瘤を認め,軽度の出血を伴うことからEVLで止血処置を行った.翌日再出血,ショック状態となったため緊急EIS行いHistoacryl 2 ml,EO 3 mlを血管内に注入したが,後日再々出血を来した.再度EIS行ったところ止血が得られたが門脈血栓症を生じた.その後徐々に肝不全が進行し,敗血症を合併し永眠された.十二指腸静脈瘤の治療において,EVLは有効例も報告されているが,再出血率も高いので,緊急例ではシアノアクリレート系薬剤を用いたEISを第一選択とすべきであると考える.EISとBRTO等のIVRはいずれも有効な手技と考えるが,単独治療のみで止血が不十分な場合は複数の手技を組み合わせることが重要と思われた.

著者関連情報
© 2016 日本門脈圧亢進症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top