日本門脈圧亢進症学会雑誌
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臨床研究
胃静脈瘤内視鏡的治療後のNBCA(n-butyl-2-cianoacrylate)排出時期の検討
野口 達矢白井 保之木下 善博中村 綾子青山 浩司吉田 智治
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2018 年 24 巻 1 号 p. 57-61

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抄録

当院における胃静脈瘤内視鏡的治療後のNBCA排出時期について検討した.2010年3月より2016年2月までの間,当院で胃静脈瘤に対してNBCAを用いた内視鏡的硬化療法を行った25例26回のうち,当院で経過を追えた16例を対象とした.CT,上部消化管内視鏡検査,腹部X線写真でNBCA排出が確認できるまでの期間,合併症に関してretrospectiveに評価を行った.男女比10:6,年齢は36~83歳(平均65.8歳),Child-Pugh A/B/C=6/7/3であった.緊急10例(止血率100%),待機6例,予防0例であり,NBCA投与後は経過観察8例,EISL追加6例,B-RTO追加2例であった.排出までの期間は3か月以内に4例(25%),4~6か月に5例(31.3%),7~12か月に5例(31.3%),12か月以降(最長19か月)に2例(12.5%)であった.本検討では治療後87.5%の症例で1年以内にNBCAが排出されていた.また合併症としてNBCA排出時の出血を1例認めており,治療後はNBCA排出までの経過観察が必要と思われる.

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© 2018 日本門脈圧亢進症学会
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