2018 年 24 巻 1 号 p. 62-65
出血のリスクのある孤立性胃静脈瘤に対してはballoon-occluded retrograde transvenous obliteration (B-RTO)の有用性は確立されている.今回我々は胃静脈瘤に対してcoaxial double balloon catheter systemであるCANDIS®を流入静脈側まで挿入することにより,門脈からのアプローチを必要とせず,逆行性静脈造影にてHirota's grade 4であった例に逆行性にdual balloon-occluded embolotherapy(DBOE)を2例施行し得たので報告する.症例1は30歳代男性,胃静脈瘤に対してCANDISにて門脈本幹近くの流入静脈までカテーテルを誘導し,静脈瘤の上下流ともバルーン閉塞を行ったのち塞栓術を施行した.胃静脈瘤はその後縮小を確認した.症例2は70歳代女性,胃静脈瘤およびシャント型肝性脳症に対してCANDISにて門脈本幹までバルーンカテーテルを誘導し,塞栓部位を挟むようにバルーン閉塞を行い,閉鎖回路としたうえで同部を塞栓した.胃静脈瘤の消失および脳症の改善を認めた.いずれもCANDISの2つのバルーンにて閉鎖回路を作成し,閉鎖回路内を硬化剤で置換するDBOEの形で,良好な塞栓効果を得られた.