日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
血管内治療が不可能な巨大短絡路を有するシャント型肝性脳症に対して外科的短絡路分流術が有効だった1例
川島 万平牧野 浩司丸山 弘横山 正上田 純志高田 英志中野 茂吉田 寛
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2018 年 24 巻 4 号 p. 242-245

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抄録

血管内治療が不可能な巨大側副血行路を有するシャント脳症に対して外科的短絡路分流術が有効だった1例を経験した.症例は60代男性.背景肝はC型肝硬変とアルコール性肝硬変.慢性腎不全で透析中.内服治療抵抗性の肝性脳症の診断で紹介された.初診時はIII度脳症であり,2週間で3回のIII度脳症を繰り返した.肝予備能はChild-Pugh score 7点と保たれていたが,門脈血流は遠肝性であり長径5 cmに及ぶ脾腎短絡路の形成を認めた.シャントを伴う慢性再発型の肝性脳症と診断し短絡路閉鎖を検討したが,透析症例であり腹水コントロールに難渋することが予想された上,短絡路は最大径5 cmのため血管内治療によるコントロールは不能であった.手術療法を選択し,短絡路を温存して脾静脈切離(分流術)を施行した.術後12か月が経過するが顕性脳症は見られず職場復帰も果たし経過良好である.巨大側副血行路によるシャント脳症へのアプローチとして示唆に富む症例と考え報告する.

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© 2018 日本門脈圧亢進症学会
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