2019 年 25 巻 4 号 p. 230-237
肝細胞癌に対する経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)は本邦で幅広く施行されているが,合併症として術後に肝動脈門脈短絡(APF)が形成されることがある.短絡の血流が多い場合,静脈瘤,腹水,脳症,門脈血栓の出現増悪などの門脈圧亢進増悪症状(PH症状)を来す.今回我々はRFA後のAPFについて自験例の検討を行った.RFA後に生じたAPFによるPH症状の増悪を認め,かつ治療を要したのは,1638例中9例(0.55%)であった.また,retrospectiveな検討では,治療数日後の効果判定CTの時点で,原因となるAPFの合併を認識可能である症例が多かった.そのためRFA後の効果判定時のCTではAPFの有無を確認し,合併した場合はPH症状の発生に留意した慎重な経過観察が求められる.PH症状が出現した際は対症的な治療のみならず,経カテーテル的動脈塞栓術にてAPF自体を治療することが望ましい.