日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
NAFLD患者のFibroScan®による経過観察からみた関連因子の検討
平嶋 昇岩瀬 弘明島田 昌明
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2019 年 25 巻 4 号 p. 224-229

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抄録

【目的】非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)患者にTransient elastography(FibroScan®)で前向きに経過観察して肝脂肪度と肝硬度の変化と関連する因子を検討した.

【対象と方法】FibroScan®を年1回施行し,計2回以上施行したNAFLD 80症例である.肝脂肪の測定にはCAP(controlled attenuation parameter;dB/m)を肝硬度liver stiffness(LS)の測定には弾性度(kPa)を用いた.皮下厚20 mm以上はXLプローブを使用し,CAP≧232 dB/mをNAFLD,LS≧7.9 kPaを肝線維化ありと定義した.

【結果と考察】平均年齢64歳,糖尿病非合併は50例,合併は30例,平均観察期間2.7年,平均CAP 280 dB/m,平均LS 8.5 kPaであった.CAPの改善/不変/悪化は順に19例(24%)/46例(57%)/15例(19%)であった.CAP変化量は体重(body weight;BW)変化量のみが関連した(p<0.001).LSの改善/不変/悪化は順に11例(14%)/61例(76%)/8例(10%)であった.LS変化量はaspartate aminotransferase(AST)変化量(p<0.001),alanine aminotransferase(ALT)変化量(p<0.001),CAP変化量(p<0.05)が関連した.

【結論】NAFLDとそれに伴う線維化の改善を得るには,BW減量によりAST/ALTとCAP低下を確認し,最終的にはLSの低下が必要である.したがって,BW,肝機能検査AST/ALT,FibroScan®の組み合わせはNAFLDの経過観察に有用である.

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© 2019 日本門脈圧亢進症学会
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